【1日目】
5年生126名は、お家の方々に見送られ、学園正門を8時にバスで出発しました。最初の目的地である浅間園に向かう途中、関越自動車道の事故渋滞に巻き込まれ、予定よりも大幅に遅れ、11時40分に浅間園・火山博物館に到着しました。天候もよく、浅間山の山頂までよく見渡せました。まずは、レストランで「溶岩カレーライス」をいただきました。昼食後、浅間火山博物館を見学、火山の噴火の仕組みや火山帯など、理科での事前学習の確認をしたり、これから歩く志賀高原と、鬼押し出しでの植物相の遷移などの学習を行ったりしました。その後、鬼押し出しの遊歩道を40分ほど歩きながら、森のできる最初の様子を理科担当教諭の説明を聞きながら歩きました。
14時に浅間園を出発、草津経由で国道の最高地点や絶景の車窓を楽しみながら、15時40分、予定通りに木戸池温泉ホテルに到着しました。その後、館内施設の確認や入浴・学習などを夕飯までに行いました。18時からの夕食は、おなかいっぱい頂きました。
夜のつどいを広間で行い、21時に就寝となり1日目を終えました。
【2日目】
早朝までの雨も小降りになりましたが、まだぐずついた空模様でしたので、本日の予定の志賀山登山をあきらめ、3日目に予定していた信州大学自然教育園の行程を縮小する形で実施しました。予定では、往復に2時間弱、園内の自然観察路でスタンプラリーを昼食も含め3時間ほど行う予定でした。しかし、雨でしたので無理を避け、行きは少しスタートを遅らせ、9時30分にホテルのマイクロバスで信大教育園まで送って頂き、園内を全員で一緒に理科教員の説明を聞きながら自然観察を楽しむというものに変更しました。それでも、コメツガやオオシラビソ、クロベなど、代表的な針葉樹を観察したり、陽樹、陰樹の混成林と陰樹のみの原生林との違いを観察したりと、充実した自然観察を行うことができました。園内の散策後は、長池、田ノ原湿原などを観察しながら、1時間ほどかけて歩いてホテルに戻りました。ホテルでお弁当を頂き、午後は観察のまとめを行いました。その後、事前に用意してあったスタンプラリーの問題をホテル内にチェックポイントを設け、学習班ごとに解いて回りながら学習の確認を行いました。
18時からの夕食の後、19時30分から石ノ湯温泉付近のゲンジボタルの観察に出かけました。国指定の天然記念物となり訪れる方が多くなったと聞いていましたが、天気がよくなかったためか一般の観光客が少なく、ゆっくりとホタル観察ができました。多くのホタルが飛び交う姿に、時間を忘れて目を奪われていた子ども達でした。1時間弱の観察の後、ホテルに戻って21時には消灯、悪天候の中でしたが、楽しい1日を過ごす事ができ夏の学校2日目を終えました。
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観察できたゲンジボタル |
【3日目】
今日もまた、午前は雨でしたので予定を変更しての活動となりました。
午前中は写生大会をホテル内で行いました。自分の部屋でもロビーでも食堂でも、好きな景色が見られる場所を選び、志賀高原の美しい景色を鉛筆とクーピーでスケッチしました。
1時間半ほどの時間の中でしたが、丁寧なスケッチができました。雨に打たれた近くの木々は色鮮やかに、また、遠くの霧にかすむ景色も幻想的にと工夫してスケッチをしていました。皆で描いた絵は、広間に全て張り出し、鑑賞会、投票も行いました。
午後からは、雨もやんだので、近くの散策に出かけました。昨夜観察した石ノ湯のホタルの場所まで歩いて出かけ、どんな所でホタルが見られていたのか、暗くて分からなかった川縁の様子も確認することができました。その後は、石ノ湯からすぐそばにあった、成蹊学園志賀高原寮の跡地も訪ねました。寮がなくなって10年以上経ち、残っているのは電柱くらいですが、「ここに寮があったんだ。お父さんもここで夏の学校をしたんだ。」と想像を膨らませる子ども達もいました。
夜の集いでは、キャンプファイヤーの練習もかねて、広間で歌ったり踊ったり、ゲームをしたりと、汗をかくほど体を動かし、雨で予定がうまく運ばないモヤモヤを吹き飛ばした子ども達でした。そして21時前には消灯、悪天候の中でしたが、充実した1日を過ごす事ができ、夏の学校3日目を終えました。
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成蹊学園志賀高原寮の跡地で
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【4日目】
今日もまた、午前は雨でしたので予定を変更しての活動となりました。
午前中は飯盒炊飯と豚汁作りの予定でしたが、外での活動は難しく、飯盒でご飯を炊くことはあきらめ、炊飯はホテルの方にお願いしました。しかし、豚汁作りの方は、施設にも恵まれていたため、食堂内の一部をお借りし、実施することができました。9時15分から作り始めた豚汁は、1時間程で完成しました。学習班ごとに作った豚汁は、同じ材料を使っているにも関わらず、班ごとに味が異なり、味比べもできました。
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豚汁作り |
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11時前には昼食を終え、早めの午後の活動に入りました。ここまで登山が全くできていなかったのですが、天気も好転し始めている事を確認し、笠岳(笠ヶ岳)登山を実施しました。歩き始めて30分もすると雨もすっかりやみ、4日目にして初めての山頂までの登山ができたのです。
11時30分、マイクロバスで笠越まで送って頂き、そこから笠岳登山口までの1時間ほどの林道で学習班ごとにウォークラリーを行いました。基準の歩く速さを最初のチェックポイントで把握し、残りのチェックポイント区間を、歩く速さを考えながらグループで歩くという単純なものでしたが、単調な林道を楽しく歩くことができました。登山口からは、往復1時間強の登山道を学級ごとに歩きました。急勾配の道を登りきって見えた標高2076mの山頂からの絶景に、子ども達は大いに感動したようです。4時20分には下山完了。予定では1日の行事でしたが、なんとか実施できました。ホテルに戻る時刻は遅くなりましたが、これも夏の学校という時間に縛られない宿泊行事だからできるよさではないかと思います。
夜の集いでは、ワォークラリー、豚汁作り大会、写生大会、スタンプラリーの結果発表・表彰をまとめて行いました。そして21時前には消灯、あまりよくない天候の中でしたが、充実した1日を過ごす事ができ、夏の学校4日目を終えました。
【5日目】
今朝は朝からの晴天、初めて外での朝会ができました。外で歌う「志賀高原の歌」は周りの山々に響いて山びこが聞こえてきました。
今日は、5年生夏の学校のメインプログラム志賀山登山です。2日目に雨でできなかったため、天気予報から判断して、本日に残しておいたものでした。
9時40分に前山リフト山頂から出発、渋池、志賀山、裏志賀山、四十八池と歩き昼食となりました。裏志賀山までの登山は、手を着いて登らなくてはならない所もありましたが、しっかりと歩く事ができ順調でした。大変だったのは、裏志賀山からの下り道です。急な勾配、滑りやすい赤土などの悪条件が重なった下り道は、隊列のまま降りるのは難しく、安全にひとりひとり降りていったため時間がかかってしまいました。四十八池での昼食を終えた時は、2時近かったので、予定の大沼池を目指すか、ショートカットコースで戻るか迷いましたが、子ども達も元気いっぱいでしたので、そのまま大沼池に向かって歩きました。大沼池、大沼池入り口と四十八池から2時間以上かけて歩き、ホテル到着は4時30分頃となりました。長い登山遠足となりましたが、裏志賀山から見た大沼池の美しさは、子ども達の心にいつまでも残ることでしょう。
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志賀山山頂
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志賀山から裏志賀山へ
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裏志賀山山頂から見る大沼池
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四十八池
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大沼池からの林道
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夕食後、雨が降ったり止んだりの不安定な天候となりましたが、何とか雨も上がりキャンプファイヤーも実施することができました。歌ったりレクレーションをしたり、少しの時間でしたが、火を囲んでこの夏の学校を振り返る時間を持ちました。しかし、残念な事に予定していた星の観察は曇り空のため実施できませんでした。
そして、21時30分に消灯。キャンプファイヤーで興奮した子ども達でしたが、たっぷり歩いた後なので、すぐに就寝することができました。
【6日目】
夏の学校最終日。起床してからは丁寧に荷物整理、使ったお部屋もきれいに後片付けをすませ、閉校式です。
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閉校式 |
ホテルの方々にお礼を述べ9時前に出発、途中に渋温泉地獄谷にある野猿公苑により、ニホンザルが温泉に入る姿を見学して、長野駅付近で昼食を取り、午後の新幹線で帰路につきました。
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野猿公苑 |
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新幹線の車内にて |
今回の5年生の夏の学校の計画は、20~30年、志賀高原寮があった時代に行われていたプログラムを再現したものでした。創立100周年の今年、夏の学校のプログラムも変わってきています。特にこの10年間の4、5年生の活動内容は年々変わってきています。温故知新ではないですが、伝統の継承を考えた時、せっかく夏の学校の実施地が志賀高原に戻ったのだからと計画しました。残念ながら雨で予定通りとはいきませんでしたが、9割くらいは実施できました。子ども達の中には、「初めて山登りが楽しいと思いました。」と日記に綴っている子もいました。いろいろなことを経験させたいと多岐なプログラムを組まなくても、しっかり歩き自然と親しむことだけを目標としていた以前のプログラムも十分に魅力あるものであることが確認できた夏の学校でした。